Personal Wireless Router
NTT-BP の小林社長から「おもしろいものを作ったんだよ。今度記者発表会をやるんだ」とお誘いをいただいて、7月15日、大手町のNTTプレスルームにいってきました。書くのが遅くなってすみません。NTT-BP と研究所のみなさんには、無線LAN倶楽部、いやその前のバイポータブルのころからいろいろとお世話になってきたのですが、今度の発表は「パーソナルコグニティブ無線ルーター」言葉で書くと難しいのですが、誤解を恐れずに簡単にいうと「無線LAN対応のモバイルルーター」の発表でした。すでにいろんなところでニュースになっていますが、実際に手にとったり説明していただいたりと、いろいろみせていただいたので、はりきって紹介したいと思います。
今回、NTT-BPが開発した「Personal Wireless Router」(PWR) は LAN 側が無線LAN、WAN側には HSDPA と 無線LAN が標準装備されていて、自宅やオフィスの無線LAN、ホットスポットなどの公衆無線LAN、さらに 3G/HSDPA ネットワークを自在に選びながら、自動切り替えしてくれる優れもののモバイルルータです。この手の製品には、以前に紹介したことのある PHS300 などがあるんですが、あれらは、WAN はひとつしか付けられなくて自動的に切り替わってくれたりはしないので、オフィスについても気がつかず、ずっと HSDPA でつなぎつづけていたり、イーモバイルの圏外になったりしても、LAN側が無線LANが稼動していて繋げるためには、クライアントのほうでアクセスポイントを手動で変更しなければいけないとか、そういう面倒を抱えていたりしていたわけです。PWRでは、そのあたり、PWRがやってくれるので、考えなくても自動的に最適なものに切りかわってくれます。さらに、日本の公衆無線LANだとやれウェブ認証だの、PPPoE だの 、自宅でも WEP に WPA だといろいろな認証方式があるんですが、そのあたりもサポート。なんたる作り込みでしょう。
また、PWR はスタンバイモードを供えていて、クライアントがいないときには自動的にスリープ、クライアントが無線で接続すると自動的に起動してWANを接続するようになっています。無線をつかった Wake on LANみたいなものですね。これでバッデリーでの稼動時間が大幅にのびるわけです。この自動的に省電力モードにはいるというのは、非常にいい機能だと思います。まあ、それでも好事家の皆さんは外部バッテリーを購入して万全の備えをすると思いますが。
また、WAN 側ですが、技術的には無線LANとHSDPAだけでなく、EDGE、GPRS、WiMAX、さらには発表資料のところどころに LTE なんて文字も書いてあったりしましたが、なんでも作ればいけるとのこと。また、有線イーサネットのアダプターまでつけられるので、旅行にいったときホテルでも便利につかたりするそうです。よくここまで作ったなあ、と感心します。
今回の記者会見、開発したという発表だけでなく、モニターを募集してトライアルをはじめることも発表されました。モニターは500人、モニター期間中はドコモのネットワークとFLETSスポットを使って実際に使い勝手などを試してほしい、とのことです。いやあ、すぐほしいです。ほしいよね > だれともなく。
そもそも、モバイルルータなんているの? 直接PCにつなげばいいよね、なんて話もあるかと思いますが、個人的には、実際にこの一年間、自分で使いたおして便利さに慣れきってしまい、なくてはならないツールの一つになりました。どこでもインターネット接続環境がもちはこべる、というだけではなく、デジカメ、iPod Touch などいろんなものがネットワーク対応になるなかで、無線LANのインターフェイスさえあれば、いつでもどこでもネットワークにつなげるという安心感、便利さは使う前に思っていた以上にあります。つなぎかえる必要もなければ、何台もケータイの契約をしなくてよくなるわけです。って、iPhone とDoCoMo のケータイの両方持っているわたしがいっても説得力がないかもしれませんが、もうこれ以上ケータイの契約を増やしたくないですよ。はい。
また、別の見方をすると無線LANのインターフェイスを備えるだけで、いろんなモバイルデバイスを作ることが可能になるともいえると思います。WANに接続できる、いわゆるケータイ内蔵のデバイスを作る、販売するには、まあいろんな困難があるのですが、無線LANなら、その敷居は非常に低くなります。Eye-Fi しかり、Chumby しかりですね。記者会見でも、ビート・クラフトの試作キット「bc9」を紹介していただきながら「ビート・クラフトが作った bc9 では Android が動いていて、自作のPDAなどが作れるのだが、これまでPDAや携帯電話を作るというのは、ネットワークにつなげる、というところで、認証やらキャリアとの交渉やらでこれまでは非常に大変だった。無線LAN なら誰でも開発が容易だし、PWR があれば WAN への接続もできる。誰でも自分で携帯電話を作れるようになる、そんな世の中にすらなっていくだろう」のように説明がありました。ほんと、そのとおりだと思います。NTT-BP の PWR のページにも「開発企業募集」が掲載されていますので、意欲のある方はぜひ。
モバイルでも音声よりもデータ通信が主役になってきていますし、データの帯域が大きくなったいまとなっては、音声はデジタル化して SIP にのせちゃえばいいや、って割り切ることだってできるでしょう。モバイルデータ通信がどんどん進化する中、あらゆる端末がネットにつながるときに、WANとLANをうまくつなぐための解決方法としてPWRはいまからすぐできる一つの答えだったりすると思います。LTEの時代を先取りしているんじゃないかな、と思える商品ですが、その商品化もトライアルのすぐあとで年内とのこと。いやはや、すぐほしいです。はい。
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