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PLC モデム BL-PA100 導入記

パナソニックから発売された HD-PLC 方式の PLC アダプター、BL-PA100 を購入して使ってみました。


Amazon.co.jp で購入

Panasonic の商品情報: BL-PA100KT

ちなみに PLC というのは、「Power Line Communication」の略で、電力線通信、すなわち電源ケーブルを利用した通信のことで、誤解を恐れずに簡単にいうと、電源ケーブルを LAN ケーブルの代わりにつかって通信してしまおう、というやりかたのことをいいます。

以前に「家庭内LAN ビフォーアフター」と、家庭内LANのサーバ-書斎間を 802.11a の WDS でブリッジ接続してみたというエントリーを書いていますが、その後引越しをしてサーバルーム - 書斎間が一階と二階にわかれて、ワイヤレスブリッジのスループットが 12Mbps くらいまで落ち込み、たまにパケット落ちなども起こしていたりと、不安定になっていました。オプションの外部アンテナの導入とアクセスポイントの設置場所などで、なんとかパケット落ちの発生頻度はとても小さいものになり、まあまあ安定していたのですが、引っ越しした先では B-FLETS を導入してせっかく光ブロードバンド化したのに、ワイヤレスブリッジがボトルネックになってしまう状況が続いていたので、ちょっと冒険してみようと、PLCモデムを試してみようと思った次第です。

購入した PLC アダプター BL-PA100 は最近認可されたばかりの屋内用高速PLCモデムです。HD-PLC 方式を採用していて、PHY 190Mbps、実効レートで最大55Mbpsくらいでるという規格ですが、無線LANやADSL同様、実際ところは利用環境により大きく変化するものです。購入したのは BL-PA100KT という、二台セットのスターターパック。二台のモデムはあらかじめピアリングされているので、ただ、電源とLANケーブルをつなぐだけで設置完了、ほんとうに簡単でした。必要があれば増設もできて、その設定もそれほど難しくないようです。通信はすべて AES で暗号化。暗号などの面倒なことはピアリング時に自動的に設定されてしまうようなので、気にすることなく利用できます。でも、マスターアダプターには設定用のウェブインターフェイスがありまして、IPアドレス、パスワードが出荷用時設定のままだと当然よろしくありませんので、変更することをお忘れなく。

導入前のネットワーク図はこんなかんじ。802.11a のワイヤレスブリッジで、ping応答が 2.0ms HTTPでの転送で 12Mbps くらいでした。

このワイヤレスブリッジをそのままPLCモデムに置きかえます。

実効レートは 15-24Mbps くらいまで伸びました。一方、ping 応答は 2.2-3.0ms とちょっと大きくなっています。とりあえず早くなったようです。

ちなみに、接続にあたっては、電源タップや延長コードを利用せず、壁面コンセントから直接接続するように、とマニュアルに書かれています。実際に、いろいろやってみたところ

両方電源タップ経由 - 10-12Mbps
片方電源タップ経由 - 10-12Mbps (変化なし)
両方壁面から直接 - 15-24Mbps

と向上していることがわかります。そういえば、付属しているAC ケーブルはかなり短いものでしたし、結構、影響を受けやすいのではないかと思います。

PLC 自体は、屋外、すなわちインターネット接続のために使うことができる便利そうな技術でもありますが、一方、結局は 2-30MHz 帯を利用しているので、屋内配線が電波源、ノイズ源になりアマチュア無線、電波天文、短波ラジオにとっての雑音、医療機器の誤動作などいろんな問題が発生するのではないかと指摘されています。高速PLCは紆余曲折を経て商品が出荷されるところまできましたが、やはり問題になるのではないかと、アマチュア無線愛好家を中心に行政訴訟も起こされています。詳しく知りたい方は、BB Watch の記事と、その関連情報あたりから調べるのがいいと思います。今後、普及するのかしないのか、注目していきたいと思います。

参考: BB Watch 編集部ブログ: 松下の高速PLC「BL-PA100」の気になるポイント