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日本証券業協会が「有価証券の引受け等に関する規則」等の一部改正についてのパブリックコメント募集中

タイトルが猛烈に長いのですが、大切なことなので略さず書きます。日本証券業協会が新規上場にあたって、未上場のときに個人投資家から増資を受けていた場合には原則として引受けを禁止する、という趣旨の規則の改正案についてパブリックコメントを募集しています。

日本証券業協会 パブリック・コメントの募集について

この改正案がそのまま通りますと、原則として個人投資家が出資している会社は、上場できないルールになります。この改正案自体は未上場企業を使った詐欺事件で個人投資家が騙されてしまわないように、というのが目的ですから、その目的のために一定の規制強化は必要なのかもしれませんが「原則として」という文言をいれているにせよ、個人投資家の投資機会を奪い、また会社側でも個人投資家からの出資を避けるようになる規制を提案するのはいかがなものかと思います。個人投資家は、特にスタートアップなど、起業の初期段階で、ベンチャーキャピタルや機関投資家では投資できないような案件にも投資し、大きな役割りをはたしてきたと思います。また、この改正案がそのまま通れば、友人、知人からの援助も難しくなるでしょう。

普通の個人投資家がはいっていたくらいでは大丈夫なのかもしれないのですが、大丈夫かどうかは「協会が認めたとき」となっているので明文化されていません。このまま通してしまっては非常に問題が多くでてくるのではないかと心配で、自分なりにパブリックコメントを作って送付しました。

もし、パブリックコメントを送ろうと考えているかたがいらっしゃれば参考にしていただけると幸いです。また、内容についても意見をいただけるとうれしいです。Twitter のハッシュタグは #jsda あたりでいいですかね。

「有価証券の引受け等に関する規則」等の一部改正に対して、下記3件の意見をお伝えいたします。

意見1:
意見の該当箇所: 「有価証券の引受け等に関する規則」改正案 第3条の2
意見: 本改正案の対象となる個人投資家に対する募集もしくは私募を上場前半年間に限定すること
理由: 本改正案は、未上場企業の資金調達において、発行体の既存株主、役員とその親族、従業員とその親族という極めて限られた対象者以外が参加している場合、その発行体の将来の上場を規制するものです。これは、事業の成長可能性についてハイリスク・ハイリターンの投資を行うベンチャー事業において、個人投資家の参加の道を事実上閉ざすものであり、ベンチャービジネスの起業環境に大きな負の影響を与えうるものと考えられます。実業に経験のある個人投資家は、これまでも、ベンチャー企業の特に成長の初期段階において、ベンチャーキャピタルや機関投資家では判断しきれない新規性に注目し、投資とともに、起業家に有益な助言や紹介を行うなどの支援を行い、結果、さまざまなベンチャー企業が成長を遂げて上場するなどし、日本経済の一翼を担っています。個人投資家は経済の活力の源である新規事業の起業を促進する上で、極めて重要な役割を果していますが、本改正案は個人投資家の投資意欲を減退させるものです。また、発行体にとっても、有価証券届出書や有価証券報告書の提出は特に起業まもない時期には重い負担であり、個人投資家からの資金調達のコストを増大させることとなり、我が国の起業環境を損うものになり得ると考えます。一方、上場を直前に控えた会社が一般の消費者を対象に株式を発行することは基本的にはあり得ず、また「未公開会社が上場直前に不適切な自己募集を行うことがないことを制度的に担保する」ための規制案の趣旨にも合致すると考えますので、上場前半年間の募集、私募を規制することを意見します。

意見2:
意見の該当箇所: 「有価証券の引受け等に関する規則」に関する細則の改正案の付則
意見: 施行までの周知期間を十分に確保すること
理由: 本改正案が施行された場合、ベンチャー企業の資金調達環境に多大な影響が発生し、将来の上場を検討する企業にとっては、既存株主、役員とその親族、従業員とその親族以外からの資金調達は事実上困難となりますし、すでに個人投資家が出資している企業にとっては、上場を目標としたベンチャーキャピタルなどからの出資も困難となることが予測できます。一部の業種で明るい兆しがあるとはいえ、引き続き経済情勢が厳しい状況である現時点で、本改正案を施行することは、ベンチャー企業の資金調達方法に著しい制限を加え、その存続すら危うくする可能性があると指摘せざるを得ません。2年ないし3年程度の十分な周知期間を置くことを提案いたします。

意見3: 「有価証券の引受け等に関する規則」に関する細則の改正案の付則
意見: 施行以前に行われた募集、私募については適用しない旨を明記すること
理由: 上場を目指すベンチャー企業では、個人投資家からの出資をすでに受けている企業が多数存在します。規則の遡及適用を避ける意味で、施行日以前に行われた募集、私募については本改正の対象外とすることを提案いたします。