日興コーディアルグループの報告書は社内メールを分析してできていた
昨年から話題になっている日興コーディアルグループの不正会計の件ですが、先月末に日興コーディアルグループの自ら設置した特別調査委員会からの報告書がでてきて、先般ニュースでも取り上げられていました。報告書全文が、日興コーディアルグループのウェブに掲載されていて、入手可能になっています。(小林雅のブログ、isologue など参考)
http://www.nikko.jp/GRP/news/2007/pdf/070130.pdf
興味がでてきたので、実際にダウンロードして読んでみました。で、内容を読みはじめたのですが、肝心の分析にはいる前に、調査方法のところに、ふと重要な記述をみつけました。調査対象は当事者へのインタビューのほか、社内メールをチェックしたそうです。
以下、報告書から引用します。
「5ページ 今回の調査について」から本調査は、NPI及びNCCから提出された取締役会等の会議体議事録等の書面資料、社内文書、及び、本件に関わる役社員のメール(※延べ約50.7万件)を厳正に検証した。メールについては、現存するメールの他、過去削除されたメールも可能な限り復元し、多数のキーワード等により絞込みを行い、その内容及び添付ファイルを検証し、重要なコミュニケーションメールをピックアップした。
(中略)
※NPI関係者のメール件数約43.3万件、NCC関係者のメール件数約7.4万件。NCC関係者のメール件数が少ない理由は、NCCの情報システム運営上、送受信後半年を経過したメールについては、自動削除されてしまうためである。
また、対象者が退任役員を含んでいること、また「データ復元ソフトを利用して、消去されたデータのうち、復元可能なデータを復元している。」と明記されていました。ちなみに、報告書の PDF はコピープロテクションがかかっていて、閲覧と印刷はできますが、コピー&ペーストはできませんでしたので、再入力しています...。
会社で、社員がやりとりした電子メールを長期保存しておくことは、最近の社内監査体制の強化などでさかんにいわれていることですが、実際に活用された例はなかなか目にしなかったような気がします。プライバシーの保護のため、社員に対して記録することを周知徹底したり、普段から漏洩しないための仕組みを構築したり、普段から不正検知のためのデータの監査を行ったり、いざ、今回のようなことがあったときにすぐに利用できるようにしたり、と単に保存するだけではなく、運用面でもとても大変なようですが、こうやって実際に活用された例がでてくると、導入も進むんでしょう。この社会がどんどん「The Transparent Society」(透明な社会) と化していくのを、また見せつけられた気がしました。
David Brin: The Transparent Society (amazon)
参考: システムのすべてを記録せよ (itpro.nikkeibp.co.jp)
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