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Apple から iPhone 登場

Apple から、以前からアナウンスのあった AppleTV (iTV) に加えて、新しく携帯電話機「iPhone」が発表されました (リリース抄訳)。ワイドスクリーンiPodというべきメディアプレイヤー、タッチスクリーンと160ppi高精細画面を備えた携帯電話、デスクトップ並みの高機能なアプリケーションが動くインターネット端末と、考えられるものを詰め込んだともいえる高機能を備えた携帯電話です。しかし、メディアプレーヤー機能など、iPod 初代についていた FireWire ハードディスクとしても使えるよ的なおまけにしかすぎないのでしょう。魅力的なフォルムやこれまでの常識を覆すようなUIにも十分に驚かされますが、なによりも驚いたのは「OS X」を登載しているところです。

これまでにも、STB である AppleTV に OS X を登載するという話はでていたので、いわゆるパーソナルコンピューター以外の用途に向けた OS X が用意されていたことは間違いないところでしょう。ただ、AppleTV は Mac と同様のハードウェアを利用していると思われるため大した驚きはありませんでした。今回の iPhone はリソースが非常に限られるであろう組み込み機器であり、こういったターゲットに向けた OS X を用意したということは、多くのことを考えさせられます。まずは、iPhone がどれくらいのスペックの CPU を登載しているのか非常に気になります。また、OS X のサブセットとしても、どれくらいの機能がサポートされるのか、など興味はつきません。

携帯電話ビジネスは、もはや単なる音声電話だけではなく、インターネット接続やコンテンツ供給とも不可分です。端末、ネットワーク、コンテンツ、それぞれのプロバイダーが複雑に入り組んでいて、インターネットとは違う環境になっています。この違いは、携帯電話のインターネット対応が、小さい画面によるUIの限界やワイヤレスネットワークの特性によって支えられていると思っていますが、この点でも iPhone は大きく影響を及ぼしそうです。iPhone はインターネット端末としても非常に魅力的に作られており、もはや、携帯電話向けにつくられた専用のコンテンツでなくても十分で、デモでも挙げられていた Google Maps との連携や、Yahoo! Mail との IMAP 連携などはその例にしか過ぎないのでしょう。

インターネットの魅力を実際に享受しようとすれば、現在のインターネットと同様のネットワークが必要です。デモでも音声通話の最中にアプリケーションを操作するようなシーンがありましたが、少なくとも、音声用ネットワークとアプリケーション用のインターネット接続を両立できるようなネットワークが用意されないといけないでしょう。Wi-Fi も装備されるようですが、バッテリーの持ちとの両立は可能なのでしょうか。連続通話は5時間という公開されているスペックからはわからない部分です。

Apple が OS X を利用した携帯電話を出すということは、いわゆるハンドセットメーカーだけでなく、携帯向け OS を供給しているところとも競合となりえます。現在の携帯電話には、Symbian や Linux、PalmOS や Windows Mobile などが利用されています。Apple はソフトウェアだけを供給するでしょうか。きっと Mac 同様に、ハードウェアとソフトウェアを一体にしたビジネスを市場に持ち込むのでしょう。また、アプリケーションの開発環境はどのようなものになるのでしょうか。アプリケーションの制作/供給環境はオープンになるのでしょうか。Dashboard の Widget のようなものは誰にでも作れるようにするのでしょうか。

少なくとも、ユーザーの視点からみれば、非常に魅力的な端末が新しく登場したわけで、Apple が自ら「Revolution」「Re-invent」と言うだけの違いがあるものが登場したわけです。日本での展開は言及されていませんが、米国では6月に登場、アジア市場への投入は 2008 年とだけ予告されています。今後の動向も注視していきたいところです。

[参考]