コモンズ / The Future of Ideas
Lawrence Lessig 氏の「The Future of Ideas」の邦訳「コモンズ」を読みました。氏の主張は共感できるところが多く、参考になります。細かいところで気になる部分(無線のスペクトルとか)はありましたが、全般的にうなずく部分が多くあります。
これを読んで思ったのは「実験してみたい」でした。
邦訳のタイトル「コモンズ」はみんなの共有物ということです。資本主義自体は、なにかを私有しないと始まらないような気がするのですが、新しい価値が産み出されるためには、すべてが私有され、制限されてしまうよりも、自由な基盤が必要であると論じています。産み出されたものから得られる価値を独占することができなければ新しいものが創造できないということと矛盾せず、この両方のバランスを保つことが大切であるといっています。
特許や著作権は価値の創造に対してのインセンティブですが、インターネットの普及など、近年の技術発展により、インセンティブが大きくなりすぎ、両方のバランスが大きく崩れる可能性を氏は警告しています。自由がもたらす創造の価値に、もっと注目していいのではないか、とわたしも思います。
といいつつも、これらのバランスを規定する法律を書く人たちが、どれだけこのようなことを理解しているのでしょうか。最近は特区構想として、一部の規制を緩和することで発展を促すようなことを政府もやっています。そこで一つ、「コモンズ特区」と称して本に示されていたようないくつかの「コモンズ」を地域限定で作りだし、実験してみたらどうでしょう。あんまり過激なものだと実際にできないかもしれませんが、小さな実験でも成功させることができれば、その経験を通じて「コモンズ」の価値を認識することができると思います。
Comments