メインフレームのブロガーイベント
先日、8月7日に日本IBMさんにお呼ばれしてブロガーミーティングにいってきました。テーマは「メインフレームの明るい未来」。先日お披露目されたばかりの zEnterprise の新型、BC12 の発売開始に合わせてのイベントでした。メインフレームがテーマはさすがに珍しいので、ちょっといってきましたですよ。
メインフレームとはなんぞや、という方のために説明しようかと思ったのですが、電算室などがあった昔の時代のいわゆる汎用機ですとか、どういう説明をしたらいいかわからないので、写真をみて興味を持った方は自分で調べてください。
で、今回紹介していただいた BC12はいわゆるミッドレンジ、中型機だそうです。といっても性能はすごいようで、スペックだけはすごくて、CPUコアは 4.2 GHz で 1064 MIPS です。プロセッサユニットは、ドロワー1つに9個搭載。アプリケーションでは最大で 6 ないし 13 個まで使えるとか。いったいどれくらいの仕事ができるんでしょうね。また、I/O まわりやネットワークまわりもいろいろなテクノロジーが投入されていて、10GbE をほぼフルスペックで使えるようになっているとか、さらに最近の流行にものっていてフラッシュメモリも使えるとか。また、メインフレームといってもオープン系にも対応していて、Linux も動いたりするんです。
ちなみに、ニュースリリースをみると 50MIPS であれば、なんと 790万円で買い切りできるらしいです(メインフレームの料金体系は処理能力あたりなんですよ、念のため)。 これなら、ちょっとしたお金持ちなら買えるのかもしれません。果たして安いのか高いのか、実際試してみないことにはわかりませんが、データセンターを自社で構えるような会社が1フロア分節約できるといえば、家賃やらラックやら電源やら...といろいろ考えればそれは節約になるのかもしれません。電源は 200V が必要なので、ちょっと個人の家には敷居が高いですね。
と、IBM さんの会議室で小一時間ほどミーティングしたのですが、普段というか、仕事でもメインフレームなど全く縁がなく、半分くらいチンプンカンプンな言葉が飛び交っていました。話も広がりすぎて、短い時間では発散したまま議論としては終わってしまったかな、というところは残念でありました。
実は、ネオテニーで働いていたときにも IBM さんにお呼ばれして、Linux on S/390 というのがあるから、と勉強会に参加させていただいたことがありました。多分、2001年か2002年かな。当時いただいたマウスパッドにはペンギンさんがいてなつかしいですね。
当時、2日くらいかけてみっちり教えていただいた上に、実機をしばらくお借りして Linux を使ってみていたんですが、普通の使いかたをすると信じられないくらいに遅かったんですね。なんとそのときにもいらっしゃった北沢さんに質問してみたところ「当時のは浮動小数点演算が遅かったんですよ(注: 汎用機はコンピュータのくせに十進数演算のほうが得意なんですよ、たしか)。今回は、4.2 GHzの Power が動いていると思っていただいて結構です」とのお返事。うーん、それなら早そうです。触ってみたい。そもそも IBM のメインフレームは VM が秀逸に作られていて、数十台〜数千台分のVMを一台の筐体で動かして、リソースのアロケーションや管理もできたりするので、企業などで、大量のサーバを抱えているところは、これ一台でまとめてうごかせるとか、そもそも PC とは信頼性が違うし、筐体内のVM間では通信むちゃくちゃ早いし。z/VM も 6.3 になって OpenStack 対応とか、なんかメインフレームとオープン系の垣根が低くなっているらしいし。なんていっても、わたしにはよくわかっていません。日本でこういう方向できちんと使いこなしているところがあるんでしょうか。
で、メインフレームの未来は明るいのかどうか、結論がいきなり出たりはしないと思うのですが、System 360 という1960年代生まれのコンピュータが元祖ですが、いまだ互換性を持って開発がつづけられていて、技術的にはまだ陳腐化しきっていないどころか、見習うべきところが多々あり、こういったテクノロジーがあることを知っているのと知らないのでは、車輪の再発明をするにしても大きな差がつくんだろうなあ、とあらためて思いました。経済合理性ではあれですが、いまだと差し詰めクラウドと DevOps みたいな話のベースにもなっていたりするわけで、久しぶりに変わった角度から頭に刺激を受けられました。IBM の皆様、ありがとうございました!
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