ニッカ余市蒸留所でウイスキー作り体験してきました
もう一ヶ月ほど前のことですが、4/21、4/22 の両日、アサヒビールさんが主催するニッカの「余市マイウイスキーづくり」のブロガー向け体験ツアーに参加してきました。通常は18,000円の参加費に交通費も自腹、にもかかわらず抽選でなかなか参加できないというこのツアー、今回は参加費が無料な上に交通費・宿泊費も33,000円までカバーいただけるというのだから、とても太っ腹な企画、応募したところ運良く選んでいただいたので、参加してきました。
あまり準備のできていない当日。朝早起きして羽田空港に向かいました。いくら旅費もカバーしてもらえるといっても、タダではないので、すこしでも節約。4/21 の往路は安い AirDo を選びましたが、ここで最初から足をすくわれました。いきなり機材整備のための遅れです。1時間ほど余裕を取っておいたのですが、みごとに余裕が全部なくなりました。カウンターもソワソワ。
いつ飛ぶのかなあ、と不安になってきたそのころ、なんと AMN とアサヒビールの方も同じ便で新千歳に向かうところだったことが判明、搭乗口で合流。みなさんは早めに現地入りして準備するはずだったそうで、焦りの色を濃くしていましたが、わたしは逆に遅刻しても大丈夫という気分になって心が安らぎました。
待って待って、なんとか出発。機内でも風の影響で飛行時間も延びてさらに遅れるというアナウンスがありました。ドキドキ。
しかし、新千歳にはギリギリの時間に到着。小樽行きのエアポート快速にすべりこみ時間通りにニッカ余市蒸留所に到着しました。おかげさまでお昼は抜きでした。
現地に到着しまして、まずは作業服に着替え。現地で用意していただいた緑のツナギにヘルメット、安全靴です。気分が高まります。
まずは座学からスタート。竹鶴翁とリタ夫人の話からニッカの歴史、そしてウイスキーの作り方までタップリ聞きました。
基本的な工程を学んだので、次は実際の見学と体験です。まずはピートをつかった乾燥室へ。といっても、現在は実際の作業は別のところでやっていて、こちらは見学用だそうです。
普段は、中までは入れないそうなんですが、実際に稼動中の建物の中にも入れていただきました。
一階でピートをもやしているところ。乾燥させたピートを触ってみたところ、意外にも軽かったです。採取したばかりのときは泥なので重いそうです。
こちらは二階。目の細かい網の上に大麦がひろげられています。建物の隙間から入ってくる光が煙のなかでレーザービームのようです。きれいでした。みんなですっかり燻されました。
昔はこんな感じでやっていたそうです。余市でもウイスキーキャットが見張っていたんでしょうかね。聞き忘れてしまいました。
次が粉砕の工程。こちらが最新型の機械で、これ一台で余市全体分をやっているそうです。
そして粉砕した麦芽は糖化釜へ。
中はこんな感じです。
ここで投入される麦芽のサンプルを見せてもらいました。ヘビーピートとノンピートの違いが写真でもわかると思いますが、実際に手にとってみたら、薫りが全然違いました。
そして発酵タンク。ここでは、まず一番麦汁ともろみをのみくらべさせてもらいました。一番麦汁は甘いジュース、もろみになると、甘味がきえてお酒らしくなりました。
並ぶタンクもいろいろ見せていただきました。発酵の進み具合によって、タンクの中の雰囲気が全然違うのですが、うまく写真に取れませんでした。それでも泡の立ちかたが全然違うのはわかっていただけるかと思います。
そして、次はいよいよ石炭直火の蒸留ポット。もう世界中どこをさがしても、石炭直火での製造は、ここ余市でしか行っていないんだそうです。
ここでは、実際に稼働中のポットに石炭をくべる作業を体験しました。スコップをもって、もえたぎる炉の中に石炭を投入。結構大変でした。
つぎは先程見学した糖化釜のなかにはいって絞りかすを掃除する作業。現地では絞りかすは飼料として活用されているそうです。
というところで一日目の見学&体験コースは終了でした。
そして着替えたあとは試飲会。5種類の原酒を出してもらって飲み比べ & バッティングです。基本のバッティングをひととおり試してみました。
また、5種類のうち2つだけのものもひととおり駆け足で試してみたのですが、相性のあう組み合わせ、あわない組み合わせ、いろいろあるんだなあ、というのを実際に体験できたのがよかったです。シングルカスクシリーズで飲んでいたものとは、また一味違うウイスキーを楽しめました。本で読んだりした知識では知っていたものの、それぞれのタイプに、いろいろな役割があるんだな、と5種類を「全部」飲んで改めて実感しました。問題は原酒の入っていた瓶が「フロム・ザ・バレル」のボトルだったは覚えていますが、グラス5杯分のウイスキーをすきっぱらで飲んでしまったからか、どの組み合わせがよかったのか覚えていないことです。ぜひ、また試してみたいとおもいました。
また、ここで、サプライズニュース。今年5月から竹鶴25年を発売するというお話も教えていただきました。まだ公式サイトには掲載されていないようですが、お値段はなんと52,500円です。さすがに数量も限定だそうですが通年で出していきたいとのことでした。竹鶴好きの方はぜひ一度飲んでみてほしいです。ちょっとだけ試飲させていただきましたが、とてもよいバランスで美味しかったです。
そしてウイスキー博物館の見学です。時間がなくて駆け足だったのですが、蒸留したウイスキーをガラス越しに職人がみるというスピリット・セイフに鍵がついているところがなんとなくそそりました。鍵は税務官が持っているのですよ。って写真とりわすれてしまいましたが。ほかにもいろんなものがあって楽しかったです。
そして、一日の見学の最後は敷地内にある竹鶴邸の見学。今回は特別に部屋の中まで見学させてもらいました。当時を偲ばせるもので溢れています。
竹鶴翁は名前にもある「竹」と「鶴」の意匠に凝っていたそうで、なんと畳のへりにも「竹」が、といった瞬間にみんな畳の写真を一斉にとりはじめ、案内してくださっていた蒸留所のみなさんが驚いていました。そりゃ驚きますよね。
その後、蒸留所のみなさんと懇親会を兼ねた夕食会。たくさん出していただきました。どれも美味しかったです。いくら丼まですべて堪能しました!
夜は小樽に宿を取っていたので、体験ツアーのみなさんと夜の運河へ。小樽ビールをちょっと楽しんだあと Rita Bar へ。こちらでは、ひとくちだけニッカブランデーをいただいたのですが、コクンコクンと舟をこいでしまいました。
翌、日曜日も余市へ。この日も良い天気でした。二日目は樽づくりの見学と体験、樽詰めと樽転がしをしました。
まずは座学。樽について学びます。
樽にもいろいろ種類があり、材料となる木材によって特性が異なり、また大きさにも種類があるそうです。
そして樽の内面を焼く活性化の作業を見学。蓋というか鏡と樽の中は別々の装置で同時に焼かれていました。炎の色の変化は、樽に染み込んでいたアルコールが焼けてなくなることでおきているそうです。
こちらが焼く前
そして焼くところ
そして焼いたあとがこちらです。
次に樽を組む作業です。樽木の隙間にはさみこまれているのは蒲(がま)の葉です。
これがパッキンになるそうです。つめる場所によって違う産地の葉を使いわけていました。この葉を挟んていれば、長期間樽から漏れてこないそうです。
鏡は実は完全な円形ではなく、微妙に違うそうです。木の特性にあわせて、ひとつひとつの樽を微妙に調整しているのが職人技ですね。
ということで、蒲の葉を挟む作業を体験させてもらいました。まずはプロの実演。
みんなでやってみます。
はみ出たところはむしりとります。
そして樽の組み上げ。昔は手作業で二人一組になってやっていたそうですが、いまは機械でやっているそうです。とても力が必要な作業ですね。樽自体の重さは100kgオーバー。大変そうです。
この作業は代表して3人が体験。すごい音がなるんですが、怯まずに完成させました。
そして、いよいよマイウイスキーの樽詰めの作業です。一口試飲してから詰めていきます。この味が10年後、どうなるでしょうか。いや、10年後まで覚えていられませんが。
鏡に寄せ書き。樽を保管するときには、栓のあるほうを上にするので、みんな上下を気にして書き込みます。
そして詰めます。
記念撮影してから保管庫までころがします。普段はフォークリフトで運搬するそうです。
そして保管庫にいれるところです。倉庫に入れるためにスロープを作っていれたのですが、腰を入れて押してもなかなか動きません。この樽の重いこと重いこと。良くわかりました。
こうして、わたしたちの樽は2号倉庫に。現在、こちらの倉庫はマイウイスキーなどの記念樽用だそうで、10年間ずっとこちらの倉庫で保存してくれるそうです。しかし、猛烈に重かったです。ちなみに、事前に連絡すれば、倉庫にこの樽を見にいけるそうです。また行きたいですね。
最後、記念に修了証をいただきました。10年後のウイスキー引き換えまで大切に保管したいと思います。
二日間にわたる体験ツアーですが、とても充実していました。ニッカさんがとても丁寧なウイスキー作りをしていることが、どの工程のお話をひとつ聞くだけでも、それぞれに伝わってきました。今回、触りだけでしたが、ちょっとでも体験したり見学したりしたおかげで、ウイスキーを飲むときの気分がまた大きくかわりそうです。また、一緒に2日間まわった同じツアーのみなさんとは、同士というのか、不思議な連帯感ができました。10年後といわず、また集まって飲みにいったりして、余市での体験を語り合いたい、そんなツアーでした。
貴重な体験の機会をいただき、アサヒビールさん、ニッカさん、AMN さんにはとても感謝です。ありがとうございました。
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