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徒然なるままに日暮らしブログに向かいて...

都知事選2014に見る創発民主制

去年の騒動のおかげで、2014年の都知事選が始まってしばらく経ちました。あまり頻繁な選挙は税金の無駄遣いと思うのですが、これも民主主義のコストなんでしょうね。ちゃんと投票には行く予定です。

いつも投票率が低いと思うのですが、それ自体も問題と思いつつも、一票でなにがかわるんだろうとか、実は選挙にいかなくても、世論調査が頻繁に行われて、人気を気にして政策も決められていたり、なんとなく結果がみえていたりして、自分の思うところとよほどの争点でもなければ...なんて、そういった世相を反映しているんじゃないかと思っています。

ところで、今回の都知事選では家入さんが出馬して、ちょっとした話題をさらっています。友達としては、がんばってほしいというよりも、どちらかというとちょっと心配、大丈夫なのかなあと思っているのですが、それはそれとして、彼のやっていることで感心したことがひとつ。というのは「5つの質問」「#ぼくらの政策」 という形でネットを使ってみんなの意見を募集して、そこで政策形成しよう(としているよね?!)という試みのことです。

このサイトをみて思いだしたのは、当然のことながら「創発民主制」のこと。ブログ黎明期 (2002年ですよ) にジョーイさんこと伊藤穰一氏(つまり当時のわたしのボス)が書いた論文がもとになっています。ちなみに元の論文は英語で、当時GLOCOMの公文俊平先生が翻訳してくれました。論文を書くときにも手伝っていたのでよく覚えているのですが、そこに書かれているブログ(というかネット)による直接民主制に近い一人ひとりの意見が元になる創発民主制と、今回の家入さんのやっていることは、とても近いものに見えます。世論調査でもなく、単純な多数決でもなく、みんなの議論によって合意形成をはかることで少数派の意見も加味される、そういった形での政治参加ですね。この論文自体は、日本より海外で評価されていたと思います。まあ、日本では選挙にネットを利用できるようになったのが最近のことですから...。

ただ、これが選挙期間の3週間足らずの祭、ただのアピールで終わってしまうとしたら残念ですね。はたして政策としてまとめられるのか、理想主義的といわれるかもしれませんし、そもそも議論による世論形成には時間がかかるでしょうし、集めたものが実行されることも大切ですよね。例えば、もっと長く、例えばアメリカの大統領選挙のように長丁場であれば、違ったものになるのではないかと。もしくはヨーロッパの海賊党のように政党として継続的な活動を目指すとか。今回の都知事選に刺激を受けて、そういったことを考える人が後にも続いていくといいなあ、と思いました。

ということで、どなたが当選してもよろしくおねがいします。はい。