dh memoranda

徒然なるままに日暮らしブログに向かいて...

SIM フリーの iPhone 4 を使ってモバイルの未来を考えてみる

iPhone 4 SIM FREE

先日 LifeHacker に寄稿したのですが、最近、SIM ロックされていない、いわゆる SIMフリーの iPhone 4 を利用しています。SIMフリーってなんじゃ、という方はこのブログまで辿りつく奇特な方にはいないと思うのですが、要するにどこのキャリアでも使えるって意味です。iPhone 4は各国のローカルキャリアの事情に合わせてSIMロックされて販売されていることが多いのですが、イギリス、スイス、香港、シンガポールなどではSIMロックされずに販売されておりますので、海外に出張が多い社長に頼んで買ってきてもらいました。日本にも輸入されていまして、ちょっと高いですが、10万円までくらいで入手できるかと思います。なんと、Amazon でも売っていますよ。


SIM フリーの iPhone 4 にしてなにがうれしいのか。ひとつはキャリアの選択ができるようになること。日本で入手できるのはソフトバンクモバイル縛りのみですが、正直なところ安定を欠くと思っている方が多いのではないでしょうか。iPhone 4 で SIM フリーにしても選択できるのは事実上、ドコモとソフトバンクモバイルの二択です。わたしのように iPhone 4 とフィーチャーフォンの2台持ちをしている人もいるでしょうし、エリアの広さでドコモのネットワークを選びたいと思っている人もいるでしょう。また、海外によく行く人にも魅力的でしょうね。海外でのパケット定額がはじまっていますが、それでもそれなりにいいお値段しますし、対応していない国もまだまだあります。SIMフリーだと海外に持ち出したときに SIM を交換して通信費用を抑えることができます。

iphone 4 tethering

また、機能面だと、Tethering(テザリング)でしょうか。iPhone 4 をネット接続用モデムとしても利用できます。モバイルルーターを使って WiFi 接続のほうが、複数台のPCで使えて便利ですし、USB/Bluetooth 接続しかできない iPhone 4 に比べると圧倒的に速いのですが、モバイルルーターとあわせて実質 2台持ち状態になってしまうのがネック。緊急の音声通話のために携帯電話を手放すことができない人にとっては、スピードよりも利便性でこちらかもしれません。ちなみに Tethering 中にもちゃんと着信できましたよ。

iPhone 4 などのスマートフォンの機能がどんどん良くなっていくと、モバイルでの通信量がどんどん増大していくことになると思います。モバイルのネットワークの帯域はどんどん増えていて、LTE では 100Mbps を視野にいれてきています。音声通話に必要な帯域は数十kbpsですから、データ通信の帯域が大きくなり遅延も減ってくるといよいよデータ通信に重畳されていくことになります。FTTHの普及に伴い固定電話で起きたようなことが2010年代には携帯の世界で再現されるわけです。データ通信が中心の世界にいよいよ変わるわけですね。

モバイルがデータ通信中心のネットワークにかわるということは何を意味するんでしょうか。日本のモバイルは細い帯域幅でもさまざまな機能が使える世界でした。いわゆるインテリジェントネットワーク万歳な世界です。データ通信帯域が伸びてくると、これが Stupid Network との競争が始まります。この競争の趨勢は誰もが知っているとおもいます。時期はともかく最終的にいきつくところは Stupid Network 側だと考えている人が多いことだと思います。携帯の世界では移行に時間がかかるとは思いますが、すでに流れは起こり始めていると思いますし、一度雪崩がはじまれば、もうとめられないでしょう。

こういう視点でみたら、いまでているスマートフォンというのは実に中途半端な存在だとおもいます。Android にしても iPhone にしても専用のアプリと専用のブラウザがあり、囲い込みの胴元がキャリアから Apple なり Google に移るだけなのかもしれません。いってみれば、囲い込みしにくい部分だけオープンにしてある端末、と。しかし、長期的には囲い込みしきれるものではないと思いますし、実際、囲い込まれたくないところでもあります。

と、うだうだと書いてみましたが、SIM フリーの iPhone 4 を使って2週間ほど、日本の通信環境はなんだかんだととてもよくできていると思いました。高速無線通信をとてもリーズナブルに利用できるのはとてもありがたいことだと思います。ただ、囲まれてしまうとオセロの駒のようにひっくりかえされてしまいます。ガラパゴスだなんだという話に惑わされずに、しっかりカドを確保してどんどん突き進んでいってもらいたいと思います。はい。